仏教と物理学

 

真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話 (幻冬舎新書)

真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話 (幻冬舎新書)

 

  上記の本を読んだ。物理学と仏教の共通性を紐解きながら、世の中の真理はなんなのかについて、物理と仏教の専門家が対話していく。

      科学と宗教は相容れないと思っていたが、物理学の世界を客観的に理解しようとする営みと、仏教の自分の心の偏見を排除していこうとする試みが一致しているため、二人の専門家の話はうまく噛み合っていた。

     仏教僧は自分の心の声に耳を傾け、煩悩を排除していくことで世の中のありのままを見ようとする。科学者も同様に、世の中を支配している原則は何なのか、偏見や主観なしに探求していく。

    話は変わるが、物理学者の話で、生命はエントロピーが減るような進化を遂げており、これは熱力学の第2法則に反しているというものがあった。単細胞から多細胞に変化する過程はまさにその現象に該当する。シュレディンガーは、負のエントロピーの概念を定義し、この現象を説明しようとした。生物は食料などの化学エネルギー、もとをたどればそれは太陽の光エネルギーになるのだが、を摂取することで自身のエントロピーが増加するのを防いでいるという説である。